暑い夏が過ぎ、気温や湿度が下がり始める秋。ヒトにとっても過ごしやすい季節になりますが、低温・低湿度を好むウイルスにとっても過ごしやすい季節。また、夏の疲れで免疫力が低下していることも合わさり、感染症にかかりやすくなる時期でもあります。子どもの場合、保育園で誰か一人が感染症にかかると脅威のスピードで拡がっていくため、食い止める余裕もありません。
今回は、そんな秋から冬にかけて流行る「RSウイルス感染症」と「インフルエンザ」についてご紹介します。
目次
◉秋・冬に流行る子どもの感染症
– ➀RSウイルス感染症
– ➁インフルエンザ
◉せっかくの秋を快適に過ごすために
◉参考資料
秋・冬に流行る子どもの感染症
➀RSウイルス感染症
RSウイルスにより呼吸器感染症を引き起こす病気です。生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子どもが少なくとも1度は感染すると言われています。近年では初感染の時期が遅くなっている傾向もありますが、その反面、流行のピークは冬から秋へと早まっているようです。
どんな症状が出る?
主な症状は発熱、咳、鼻水、咽頭痛、頭痛、倦怠感など、風邪に似た症状です。しかし、生後6か月未満の乳児や低出生体重児は、肺炎になるなど重症化しやすいので注意が必要です。
予防方法は?
まず感染経路は、RSウイルスに感染している人がくしゃみや咳をすることによって空気中に放出されるしぶきを、別の人が吸い込む飛沫感染、ウイルスに汚染された手すりやドアノブ、おもちゃなどを触り、その手で口、鼻、目に触れて感染する接触感染の2つです、この対策として、マスクの着用と手洗いうがい、子どもたちが日常的に触れる手すりやおもちゃなどの除菌で感染のリスクが抑えられます。
治療方法・特効薬は?
特効薬などはなく、咳をしずめたり解熱剤などで発熱を和らげる対症療法(疾病の原因に対してではなく、症状を軽減するための治療や自然治癒能力を高め、かつ治癒を促進する療法)によって治療します。
子どもの呼吸が速い、息苦しそうにしている、肩や全身を使って息をしている、顔色が悪い、元気がないなどの様子が見られた場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
また、先天性心疾患や慢性肺疾患をもつ子どもの場合は、感染予防や病気にかかった場合の対応などについて医師からの助言を受けておきましょう。
➁インフルエンザ
インフルエンザウイルスにより呼吸器感染症を引き起こす病気です。インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型、D型の4種類に分けられ、 主にヒト間で流行を起こすのは、A型とB型のウイルスです。例年、11月頃から徐々に感染者が増え始め、1月頃が流行のピークとなります。免疫力の弱い子どもや高齢者の間では夏や秋から患者が増え始めることもあります。
どんな症状が出る?
38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身の倦怠感等の症状が比較的急速に現れるのが特徴で、併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻水、咳等の症状も見られます。
また、子どもではまれに急性脳症や二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあるため、注意が必要です。
予防方法は?
毎年、どの型のインフルエンザが流行するかを予測した上でワクチンを開発し、予防接種が行われています。しかし、完全に予防することは難しく、流行時には人混みを避けたり、手洗いうがいと手指のアルコール消毒の徹底、室内を程度な湿度に保ち、バランスのとれた栄養補給と充分な休養が予防策として有効です。
治療方法・特効薬は?
近年、抗インフルエンザウイルス薬(タミフル、リレンザなど)も数多く開発されていますが、厚生労働省では、12歳未満の子どもへの投与については慎重に行う旨、記載があるため、子どものインフルエンザに関しては予防に特化した対応が求められます。
せっかくの秋を快適に過ごすために
秋から冬にかけての感染症としてその他にも急性胃腸炎を引き起こす感染症、ノロウイルスやロタウイルスなどがあります。
実りの秋、食欲の秋、スポーツの秋…、夏とは違った楽しみが味わえる秋は、気候の変わり目であると同時に感染症が入れ替わる時期でもあります。
ママも子どもも体調管理に気を配り、免疫力を高めて秋冬への準備を万全にしてくださいね!
参考資料
厚生労働省 | RSウイルス感染症Q&A |
厚生労働省 | インフルエンザ(季節性)対策 |
厚生労働省 | インフルエンザQ&A |
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