インタビュー

医療的ケア児のママに聞いた!ベビーシッターを利用してみてどうだった?

“医療的ケア児(医ケア児)”という言葉を聞いたことはありますか。
医療的ケア児とはチューブやカテーテルを通して胃や腸に直接栄養剤を注入する経管栄養やたんの吸引、人工呼吸器による呼吸管理など、日常的に医療的ケアを行わなければいけない子どものことを言います。

eキッズ訪問保育でお預かりしているお子さまの中には、2時間に1回ミルクの投与が欠かせず、時間をあけてしまうと血糖値が下がり発作が起きてしまう子もいます。また、子どもが小さい頃は人工呼吸器の装着が必須で、夜も「外れてない?大丈夫かな?」と子どもの様子が気になり安心して眠ることもできなかったというママもいました。
このように医療的ケア児のママは子どものお世話のために充分な睡眠をとる時間もない状況にあります。

今回は、医療的ケア児を育てながら弊社を利用されているママ・Mさんにインタビューを行い、Tくんが生まれてからの出来事やeキッズ訪問保育を利用することになった経緯などをお聞きしました!

目次

◉生まれたばかりのわが子が集中治療室へ…
◉退院してまた入院…ほとんどを病院で過ごした1年間
◉仕事を失うかも…プレッシャーとの闘い
◉eキッズを利用してみて感じること
◉医療的ケア児の先輩ママから新米ママへ
◉これからも子育てママの味方でありたい

生まれたばかりのわが子が集中治療室へ・・・

私の場合、定期健診の際にいきなり羊水の減少と胎盤機能の低下がみられ、また息子自身にも十二指腸閉鎖症(胃液やミルクが十二指腸内を通過しない状態)と心室中隔欠損症(心室を隔てる壁(心室中隔)に穴がある状態)の可能性があるかもしれないと先生から言われました。そこからは考える時間もなく緊急帝王切開で息子を出産。

生まれたばかりの息子も、すぐ検査をして翌日には腸の手術。その後は2か月ほどNICU(集中治療室)で過ごさなければいけませんでした。

退院してまた入院…ほとんどを病院で過ごした1年間

その後一度退院をし、生後3か月で心室中隔欠損症の手術。その半年後には、風邪をひいたことが原因で肺と気管支の状態が悪くなり、詳しい検査が必要になりました。結果、気管支軟化症と突発性間質性肺炎が見つかり半年ほど入院。入院中は1日中、人工呼吸器の装着が必須で、退院してからの5か月間も16時から翌朝9時までは人工呼吸器を着けなければいけませんでしたね。
また、突発性間質性肺炎の治療に高容量ステロイドを内服していたためどんどん太っていくのに対し、身長は止まる。そんな状況で私的には一番ストレスが多い時期でした。
病院の面会も1日15分で、行っても何もしてあげられませんでしたし、面会者も1人のみと決められていて、パパは半年も息子に会えない状況だったのでかなり切ない思いをしていました。

その反面、退院してからは“一緒に暮らす”という当たり前のことができる今の環境により感謝するようになりましたね!

仕事を失うかも…プレッシャーとの闘い

仕事復帰となった時、一番悩んだのは息子の預け先でした。風邪をひくと難治性の間質性肺炎になり、以前のように入院してステロイド治療が必要となるため、感染症が流行りやすい集団保育は選択肢に入れられませんでした。そこで医療的ケア児に特化した訪問保育サービスを行っているベビーシッター会社さんや通常のベビーシッター会社さんに連絡をしましたが、空き状況待ちだったり、そもそも受け付けてもらえなかったり…。最終的には、知人の女性に個人的にお願いをして息子を見てもらい、何とか職場復帰はできたのですが、今年の4月頃、その方も家庭の事情でお願いすることが難しくなってしまい、再度預け先を探すことになりました。

以前ベビーシッター会社さんにさんざん断られていたので、「また探さないといけないのか~…。」と沈む気持ちがありつつも、仕事を辞めることはできなかったので、とにかくたくさんのベビーシッター会社さんに再度問い合わせをしました。それでも、「ダウン症で経管栄養をしています」と言うと料金がいきなり跳ね上がったり、「何かあると怖い」と言われていい返事はもらえませんでしたね。
そんな状況で途方に暮れていたところ、計画相談支援の方がeキッズさんを紹介してくださり、実際に話を聞いてみると、なんて志が高くて、懐が深いベビーシッター会社さんなのかと…!
二つ返事で依頼をお願いしましたね(笑)

一刻も早く預け先を見つけなければいけないというプレッシャーの中、eキッズさんに出会えて本当に助かりました。

eキッズを利用してみて感じたこと

利用し始めてからは、ますますeキッズさんに頼んでよかったという思いが増えましたね。
ベビーシッターの皆さんはとても生き生きと保育をされていて、“褒めながら楽しく”保育をしてくれます。そのおかげなのか、コミュニケーション力も伸びてきて、今では自分から意思疎通をしにいくようになりました。また、動きも活発になってきて、楽しいと思っていることは積極的に自分から動くようになってきました。
リハビリにもできる限り協力してくださいますし、何より息子のできることが1つ増えると自分のことのように喜んでくださるため、保育だけでなく保護者支援という立場で見ても、さすがプロだなと毎度感心しています。

医療的ケア児の先輩ママから新米ママへ

私自身もそうなのですごくよくわかりますが、医療的ケア児のママは“付きっきりで子どもに寄り添いたい”という気持ちが誰よりも強いと思います。ただ毎日一緒だと気がめいってしまうこともありますし、ママ自身の限界だってあります。だからこそ、時には離れる時間も必要で、少しの時間でも良いので誰かに預けてみることをおススメします。
私も息子と離れて自分の時間を持ってみたことで、今まで見えなかった子どもの成長に気づくことができたり、より一層息子が可愛く思えるようになりました。また、自身の息抜きにもなったので、“預ける”という選択は正解だったと感じています。

息子にとっても私だけとずっと一緒にいるより、いろいろな人と関わり、たくさんの刺激を受けることが必要ですし、何よりそこから得た学びは大人になっても生きていくことだと思うので、人と巡り合う手段としてベビーシッターのお世話になるのも良いと思います。

これからも、子育てママの味方でありたい

利用開始当初はまだ経管栄養をしていたTくんですが、現在はペースト状の離乳食に移行できるまでになり、eキッズとしても嬉しく思っています。
Mさんのように「仕事を続けたい」「1人で子育ては大変」「誰かに手伝ってほしい…」そういったお悩みを抱えるママの子育てサポーターとして、ママを勇気づけることができる訪問保育サービスを目指していきます。

前回の障がい児ママのインタビューはこちらから見られますので、合わせてご覧ください!
それではまた次回!!

– 協力取材 –

【ママプロフィール】

Mさん

東京都在住

ダウン症で医療的ケア児のママ

※本ページの内容は、特に記載のないものを除き、記事執筆時点でのものになります

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